VOX meets Mods THE COLLECTORS HISASHI KATO INTERVIEW 加藤ひさし、僕はVOXコレクター -Part1-


VOX meets Mods THE COLLECTORS HISASHI KATO INTERVIEW 加藤ひさし、僕はVOXコレクター -Part1-

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1987年のメジャー・デビュー以来、ジャパニーズ・モッズ・シーンはもとより、そのユニークな音楽性でシーンの枠を超えた影響力を放つ稀有な存在THE COLLECTORS。そのカリスマ・ヴォーカリストにしてギターにも造詣が深い加藤ひさし氏。撮影談議のPart1に続き、Part2では楽器や音楽のことなどを中心にお伝え致します。


撮影時の話し

VOX:お疲れ様です。本日もお忙しいところ宜しくお願いします。

加藤:こちらこそ。しかし、まさかこの僕が50歳を過ぎてVOXアンプの壁を前に写真撮影するなんて思ってもみませんでした。ギター・マガジンなんか絶対やってくれないし(笑)、もしヴォーカル・マガジンなんて雑誌があれば沢山の表紙を飾っていたと思うんだけど(笑)、ヴォーカリストのこの僕が一夜にして一流ギタリストの仲間入りをした気分でホント気持ち良かったです、ありがとうございました。

VOX:楽器はやっぱりギターからだったんですか。

加藤:もともとはバンド始めた頃はビートルズが大好きで、ポール・マッカートニーへの憧れもあったりして、ギターは勿論ベースを持ってステージ上がってたり、今みたいなヴォーカル・スタイルじゃ全然なかった。ただ、ギターに限らず、ベースに限らず、鍵盤楽器だとそれこそメロトロンとか今はもう死に絶えた楽器とかも所有したいぐらい、楽器については本来大好きでマニアなんです。だから今回VOXでこんな企画を頂いて嬉しかったし、何だか夢が一つ叶ったかなって思ってます。


VIRAGEの話し、楽器の話し

VOX:音楽やり始めた頃のヴォーカル・スタイルも、コレクターズを始めてからは随分変わったんですね。

加藤:コレクターズには古市コータローというスーパー・ギタリストがいるので、ステージで僕がギターを抱えてスーパー・ギタリストよろしくキメてやるぜ!なんて思ってもないし、その必要も全く無いんです。なので、僕自身がギターを持って歌う時のギターには殆ど拘りも無くってね。ロック・ギタリストなら誰でも憧れる有名ブランドのギターにしても関心は薄くって、だから敢えてレアなビザール系のギターを抱えて、衣装の一部と言うかファッション性を意識して選んでいたところはありますね。


VOX:では、あらためてVIRAGEを持ってみての感想はどうでしたか。

加藤:マニア気質なところもあったりして、持ってるギターはどれも安く買えるビザール系のギターばかり。遊びで色塗り変えたりネック替えてみたりなんかしてね。面白くって変でバカバカしかったりするんだけど、コレクターズで僕が持つギターは、何か飛び道具的な意味合いが強いんですよ、音は二の次だったんです。そもそも僕はギタリストではないし、重要なギター・パートはコータロー君に任せられる訳だし、だから皆と同じことしても面白くないし、楽しくないなって思ってます。たぶん見てるファンもそう思ってるんじゃないかな。

ただね、そういうギターは弾きにくいし当然音も良くはないので、こと演奏してて楽しいかと言われるとそうではないんだよね。VOXのVIRAGEは僕が持ってるギターの中で一位か二位を争う高価なギターなんですよ(笑)。で、持ってみて感じたのは、やっぱりしっかり造られたギターは弾いてて楽しいな〜ってことですね(笑)。

VOX:やっぱりギターを持つ時は、ステージでの立ち振る舞いや絵的な部分もかなり意識してるんですよね。

加藤:VOXは僕がモッズを始めて以来VespaやLambrettaやFRED PERRYなんかと同じで、外せないオシャレでカッコイイ一つのブランドでアイコンなんですよね。もうVOXの文字がギターのヘッドに入っていればそれだけで英国ロック気分に浸れるみたいな。これがもし他のギター・ブランドだったら、どんなに有名で優れていたり、オシャレだったとしても今回の様なお話は受けてないですね。
ま、そんな単純なことも理由の一つなんですが、実際に持ってみて思ったのは、それはそれは良く出来てるしホントに感動しました。

VOX:ご自分のスタイルには合ってるなと。

加藤:VIRAGEが自分のスタイルに合ってると言うか、音で言うとピック・アップをフロントもリアもシングル・コイルにして、ハーフ・トーンにして出せる甘いクリーンの何とも言えない上品さは格別でもの凄く好きです。他のシングル・コイルのギターで得られる音よりももっと上質でキメ細やかな音でしたね。勿論ロックにも合うんだろうけど、この音はコレクターズには正直言って似合わないとも思ったんですが、例えばジャズとかブルースとか、より繊細さとか楽器の真髄まで追求する様なギタリストには、更に上の表現力を与えるんじゃないかなと感じました。


VOX:正にその通りのギターで、プレイヤーの力で音の繊細さやディテールまできちんと表現出来るのがコンセプトとしてあります。

加藤:コレクターズの楽曲はパワー・ポップ・ロックンロールが身上で、音のデリケートな部分はどうしても隠れてしまいがちなんだけど、僕はリアのピック・アップをシングル・コイルで使う様にして、なるべくソリッドなクリーン・トーンが前に出て行く感じにしています。でもこのギターはホントに多彩な音が作れるし器用なギターだと感じています。

VOX:逆にVIRAGEだからこそ出せる、そんな音が似合う曲をコレクターズでもどうでしょうか。楽器の音に触発されて出来上がる楽曲もありますよね。

加藤:そうだね、僕はアップ・テンポな曲を書く時には、気分的にも必ずエレキを持ってドライブさせた音で作るんだけど、このギターと出会ったお陰で今までとはまた違った雰囲気になったりして、コレクターズの新たな一面を見せられるかもね。曲作りの中で音にインスパイアーされている部分は大いにあります。
あと自分では気付かなかったんだけど、あのギターはステージで見ると凄く綺麗らしいんですよ(笑)。艶があってね。僕の友人は「陶器で出来てるんですか?」って質問してきたよ(笑)、ホントに綺麗、カッコイイってファンやスタッフに言われるよ。ステージから客席までって結構距離があったりするんだけど、これまでそんなの言われたことなんてなかったし、僕が持ってるのは白だから余計にステージ映えするのかもしれないけど、木目とかフィニッシュの艶やかさとか、流石に高いだけあって良く造り込まれてますね。

VOX:お客さんもよくチェックしてるんですね。

加藤:もう衣装を見る様にギターも見てますね。そこにはモッズってスタイルを打ち出して来たコレクターズってバンドの特性もあるかもしれないんだけど、ファッションのチェックもさることながら、メンバーが使っているあの楽器はどこどこの何年製でとかまでよく調べられてますよ。勿論ミュージシャンとして僕らもその辺は意識して使ってますけど、VIRAGEが褒められたこともそういったファンの気質なんでしょうね。
あとね、セミ・ホローのボディはパッと見オーソドックスに見えるけど、ペグとかブリッジとかありモノじゃなく全てオリジナルで製作してるじゃないですか。ピック・アップ、ボディ・シェイプ、セット・ネック裏の大胆なざぐり方と握り易さとかまで含めて、ディテールまで本気でオリジナリティを追求しようとしている真剣な姿勢がこのギターからは伝わって来て感心しました。

VOX:VOXは技術面では真空管の使い方でもValve ReactorやValvetronixなど新しいトレンドを作り出してるし、代名詞的フル・チューブ・アンプのAC30だって進化し続けています。ギターもただ昔の焼き直しをしたのでは時代的にも全く意味を成さない。焼き直しは他のブランドに任せておけばいい(笑)。

加藤:僕は古い英国製のMINI COOPERに乗ってるんだけど、それと比べるとBMWの新しいMINIは大きくなって何もかも今風にモダナイズされているんだけど、ブランドが持つアイデンティティと伝統はしっかり継承されていて、それでいて全く新しいモノとして造られている。同じことがVOXギターにも言えてて、一つひとつに新しさがあるんですよ。オリジナリティを追求するにしても見栄えや小手先だけ変えて、はい新しくなりました、なんてモノが氾濫してる中、それらとは完全に一線を画している。
ただ古きを懐かしみ称えるのではなく、勿論それは否定するものではないけれど、今のVOXには伝統と同時に新しい時代の息吹みたいなものを感じました。そうですね、大人っぽさと言うのかな、そう、大人の粋みたいなものを強く感じました。それが老舗ブランドだけれど歴史や伝統だけに甘んじないVOXのカッコ良さなんだと思います。






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