VOX meets Mods THE COLLECTORS HISASHI KATO INTERVIEW 加藤ひさし、僕はVOXコレクター -Part2-


VOX meets Mods THE COLLECTORS HISASHI KATO INTERVIEW 加藤ひさし、僕はVOXコレクター -Part1-

音楽感の話し

VOX:最近は音楽業界全般に元気が無いってよく言われますよね。若い世代も先が見えない閉塞感に包み込まれているような気がします。

加藤:う〜ん、例えばロックなんかはもう若者にとって粋なものではなくなってる気もしてて、ローリング・ストーンズ見てても彼らの方が若いバンドよりも元気なんだもん(笑)。勿論若い連中にもとてつもないヤツはいるんだけど、何だか弾ける世代がまだまだ僕ら40代50代でもいいんじゃないかなと思ってる、継続してね。

VOX:元気の秘訣は好き勝手なことしても時代的に許された最後の世代だからでしょうか(笑)。でも昔は無茶しながら突っ走って来た人たちも、今は肩の力がイイ感じで抜けてて、そこがまたカッコイイ。

加藤:CDが売れなくなったりダウン・ロード配信になったりしてるけど、やっぱり何か満たされない、つまらないって皆が思ってる。ライブやるってのはロック・バンドに限ったことじゃなくミュージシャンにとって自分を表現する上で本質的な部分だし、今更ながら音楽やる上でライブってのがとても重要視されて来つつある実感はホントにあります。今まではカジュアルにCDショップに音楽を買いに行ってたのが、これからはもっともっとカジュアルにライブ・ハウスに行って音楽聞きに行く時代がやって来たんだと思うんですよ。それもいい歳してロック聞きて〜みたいな(笑)。60年代から連綿と築かれたアメリカとかイギリスの音楽文化を見てて思うのは、そもそも音楽や芸能ってそう言うものなんだよね。夜はテレビやビデオを見たりするもんだった日本的な日常も、クラブとかが出来た今でこそ随分変化した面はあるけど、海外では夜な夜な好きなライブやクラブや演劇観に行ったりして、アーティストもオーディエンスも生の演奏だったり演劇に何も気負わないで普段着で触れ合う習慣が昔っから生活の中にあった。英国なんてテレビのチャンネル数が4つぐらいだったし。この国も色んなものを受け入れ経験して来て、普段の生活の一部にそういう空間があるって素敵だし楽しいなって、漸くそんな文化って言うほど大袈裟ではないけど、遊び方が出来る様になって来たんだなと思うし、そう思いたい。

VOX:音楽ソフトもレコードからCD、配信と様変わりして来て、ミュージシャンも活動のあり方に変化を余儀なくされていますよね。今という時代が何か物質主義からの脱却を求め始めているんでしょうか?

加藤:ローリング・ストーンズも、矢沢永吉さんだって皆音楽活動の源はライブなんだよね。で、そこではかなり原始的なことが起こってて(笑)、マイクロ・チップの時代に真空管で出来たギター・アンプとか木で作られたギターとかピアノとかが鳴ってて、オーディエンスは楽器とかもより間近で見ることになるわけ。音楽というソフトのあり方は時代と共に間違いなく変わったけど、VOXにしたって他の楽器にしても、まだまだと言うか、これから益々活躍しなきゃいけないし必要とされて行くんじゃないかと思います。

VOX:そうですね、我々が考えてるよりもお客さんはずっと物事をシビアに捉え見ています。メディアを通じたご都合主義の画策に乗ってはいけないことに人々はとっくに覚醒してる(笑)。ハードもソフトも商業至上主義では鼻からお客さんにソッポを向かれてしまいます。

加藤:音楽不況を時代のせい、誰彼のせいにしても始まらないんだけど、こんな時代に風穴を開けられるのはカリスマ的なバンドや面白いことやって今までの価値観をひっくり返す様なヤツが出て来て、世の中をリードして行くしかないと思うんですよね。下手にお金を掛けた宣伝に頼らなくたって、それがマーケット・ポテンシャルを引き出す大きな力になると思うんですよ。
例えば僕らのポッド・キャストなんかもいい例で、ギャラ無し、台本無しで言いたいこと喋ろうよでやったら、iTunesベスト・リワインド***に入っちゃった。でもね、僕らのこれまでやって来たスタンスは崩さないしスタイルも絶対に変えない。アップル・ストアから公開録音して欲しいとか、怒髪天の増子君をゲストに呼んでくれとか各方面から色んなオファーは来るんだけど、それをやっちゃダメなんだよね。コマーシャリズムに乗っからないとか反迎合主義だとかじゃないけれど、それやっちゃうとね、こっちも聞き手も飽きて来てだんだん面白くなくなるんですよ。
そんなスタンスやスタイルを延々とやってる面白い連中が一人二人と増えてくれば、必ず音楽のシーンも変わって来ると僕は信じてるんですよ。拘ることでVOXに限らずFRED PERRYのポロシャツ一つにだって興味が湧いて来る、そう言うのがやっていて楽しいんです。そう言うのがナチュラルですよね。

VOX:モッズ・スタイルにしてもリメンバー60’sっていう哀愁の香りをそこはかとなく感じつつも(笑)、まぁ、それがカッコよさでもあるんですが、実は若い世代には古いとか新しいとか関係なく、今は一つの普遍的なスタイルとして受け入れられている気がしてます。

加藤:あの写真を撮ったのも、一連のロック・ギタリストらが業界誌に向けて撮ったものは僕の中では偏って見えていて、そこに何かしら新しいエッセンスを注ぎ込むには、撮ってもらうカメラマンもファッション・カルチャーにも長けた人間を呼んで来たりして、何か違う角度からの魅せ方もあるんじゃないかなと思ってね。そういう新しいことしたいと思ってる人たちとの仕事は、お互い刺激になるし楽しいですよね。

VOX:そうですね、このスタイルは続けて行きたいですね、理屈無しでカッコイイですから(笑)。

加藤:そう、理屈なんか抜きでカッコイイと思ってくれればそれでいいんだよね。家のかみさんがあれ見て言うんですよ、次のCDジャケットはこれでいいじゃないかって(苦笑)。もうVOX,VOX,VOX,VOX,,,,って、お前こんなにVOX並べたら怒られんだろーみたいな(笑)。でも辛口の身内にも受けた気がして良かったですよ(笑)。


***加藤ひさしと古市コータローで2009年に始めたポッド・キャスト「池袋交差点24時」。2009年、2010年と二年続けて選出されている。

これからの話し

VOX:コレクターズも今年は結成25周年ですが、抱負などお聞かせ下さい。

加藤:今年は新譜を8月半ばにリリース予定です。通算18枚目のオリジナル・アルバムになるんだけどね、で、それを引っ提げて9月25日に日比谷の野外音楽堂で25周年ライブをやります。10周年20周年と野音でやってるんだけど、やっぱりソールド・アウトさせたいですね。これだけ長く続いているバンドもそんなに無い訳だし、僕らが弾けることで使命感ではないけれど、同じ様に長く音楽を続けている人たち、これから音楽をやろうと思ってる人たちの活力になればいいな、なんて思ってます。音楽シーンに力を与えられる、見て元気になってもらえる様なライブにしたいですね。

VOX:我々も是非ご協力させて頂きます、楽しみです。しかし、一言で25周年とは言いましても長い道のりですし、何か感慨深いものがあったりしますよね。

加藤:まぁね、でも過ぎてしまえば何でも短く感じますよ。今でも小学生、中学生時代を思い出してみてもそんなに昔な感じがしないもん(笑)、不思議と。とにかく走り続けて来た感じはあるんだけど、ロック・バンドを、それもメジャー・シーンで25年間もやって来れたなんて、ホントに奇跡に近いと思います。ただ一つだけ言えるのは、それと背中合わせの不安は常にありました。好きでやってるから腹は括ってやって来たんだけど、だいたいミュージシャンとか先の保証とか何も無い稼業じゃないですか。だからね、笑い話みたいなんだけど、たまに実家に帰ると未だにお袋が言うんだよね、早く就職しなさい、どこそこの工場が募集してたよって具体的にね(笑)。
それがもう可笑しくってね。で、僕には一つ小さな夢があって、60歳だか65歳だか世間的な定年を迎えた時に「ゴメンお袋、就職出来なかった!」って言うこと(笑)。だからお袋にはまだ長生きしてもらって、お詫びじゃないんだけど、音楽やって、ロックやって、色々と心配掛けつつもやって来たんだけど、まだまだ頑張って行きますよってところを見せたいですね。

VOX:それで漸くお母様にも認めてもらえるかもしれませんね(笑)。

加藤:だといいんですけどねぇ(笑)。まぁ、一人のバンド・マン、一人のミュージシャンの生き様として、何だか真面目にスチャラカハッピーに生きて来た人間がいて、そう言うバンド・マンの生き方があってもいいじゃないですか。
あと人との出会いは凄く大事にして来ました。今回もね、ご縁があってVOXを使うことになったのはとても嬉しいことです。楽器とミュージシャンは切っても切れないものだから、僕らも25周年という節目を迎えて、成熟さを増しつつも益々精力的に活動して行きたいし、それでVOXもよりフィーチャーして行けたらお互いにハッピーですよね。
とにかく楽しいこと、面白いこと、新しいことをまだまだこれからもやり続けて行きたいですね。共有したいです。

などなど有意義な時間を終えPart2のインタヴューも無事お開きとなりました。今後も加藤ひさし&VOXの動向に皆さんも注目していて下さい。
なお加藤ひさし氏が教鞭を振るう「ロックの学園2011」は、この度の東北関東大震災の影響により中止となりましたが、チャリティー・イベント「ロックの学園WEST」として大阪で緊急開校することになりました。
The Collectorsの出演もありますので皆さん是非ご登校下さい。

 「ロックの学園WEST」ウェブサイトはこちら

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Profile


加藤ひさし(Kato Hisashi)

ミュージシャンにもファンが多い、ジャパニーズ・モッズ・シーンにディープに君臨し続ける「ザ・コレクターズ」のリーダーにしてヴォーカル。人々を惹きつけてやまない彼が作る独特な歌詞世界はまた、矢沢永吉の多くの楽曲等でも聞くことが出来る。2009年1月から配信を始めたギターの古市コータローとによるポッドキャスト「池袋交差点24時」も熱狂的ファンに支持されながら快送中!Do the Download!

 ザ・コレクターズ公式サイト

 日本コロムビア

 池袋交差点24時




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